43 レース模様

ことちゃんの、みんなで作る大きな絵は、どんどん違うものになっていった
色が加わり描く人がかわると、大きな紙のそれぞれの絵がつながっていく
にゃん一郎くんのみどり色の虫は、最初はそこにとまっているようだった。次に見たら、葉っぱみたいなボートに乗っていて、その次見たときには仲間(黄色やオレンジや茶色の虫たち)と旅にでていた

となりのとなりでビワをならべていたまりくちゃんが、ことちゃんと話している
ビワは、ならべて早々に売れた
じゃあっていって、今度はビワを盛っていたカゴに値段をつけたら、そのカゴも次々売れた
今日は商売繁盛の日なんだわってまりくちゃん。なにか、もっと持ってきてもよかったかも。まあ、そんなに欲ばることもないか
まりくちゃんは、水筒から冷たい麦茶を注いで、ことちゃんにはいどうぞって渡した
絵もいい感じになってきてるね、すごいな
みんなで描くのって、思ってたより楽しいんですね
そうよね、自分一人じゃ考えつかないほうにたいてい進んでいくしね、不思議だけど

まりくちゃんは茶色のペンをとって、わたしも描きたいのがあるっていった
このごろレース編みしてるの。細い、銀色のかぎ針で編むのよ、その模様を描いてみる
まりくちゃんは、編みものするように紙に模様を描いた
模様は少しずつ長くなり、小さなまるやしかくや長しかくや、葉っぱや花や花びらを抱えて大きくなって、ことちゃんの前に広がっていった

35 おまつりのはじまり

雨がようやくあがって青い空が見え始めると、急に暑くなった

今日は、スズメさんの子どもたちがリボンやスカーフをつけておしゃれしている。コップさんからのプレゼントなんだ
小さなおまつり宣伝隊員さんたちは
このふわふわのリボン、すてきー
もしかして、ゆきちゃんの髪かざりとおそろい?
何色えらんでもいいの? 迷っちゃうな
みてみてー
わたしもみてー
コップさんから大喜びで受け取る

おまつりの日はいい天気になった

ジューススタンドのパイナップルのフラッグが元気よく揺れている
トマトちゃんはむだのない動作で準備する
コップさんは氷や備品のチェックをしながらおもしろいことをいって、トマトちゃんを笑わせている

コーヒーゼリーさんの占いテーブルは朝から大人気だ。、急きょ、相談時間はひとり10分までになった
それでも順番待ちで行列ができるから、棒パンとぼくでイスを運んできて座ってもらった

となりで、ことちゃんは家の倉庫から持ってきたビニールシートを広げた。似顔絵描きじゃなくて、大きな紙を置いて、きた人に絵を描いてもらうことにしたんだ
絵の具やペン、チョーク、色鉛筆、クレヨン、いろいろ用意していいて、どれを使ってもいい。絵は大きく描いても小さく描いても、絵じゃなくて字でも線でもいい
自分の好きな事か、好きなものを描くといいですってことちゃんがいう
好きな人の事を思って描いても、きっとすてきな絵になります

空の下で絵を描くのっていいなあってにゃん一郎くんがいう
それから鼻をくんくんさせてあたりをにおった
何のにおいだろう? いいにおいがするよ。イチゴのジャムみたいだけどちょっとちがうな、なにかな
みどり色のサインペンを握ったまま、にゃん一郎くんはもう一度においをかいだ
わかった、かき氷のイチゴシロップだ。今日はかき氷屋さんもあるんだね
にゃん一郎くんは、持っていたペンのキャップをはずして、きゅっきゅっって音をたてて描きだした
カナブンみたいな、みどり色の虫を大きく描いている

近くでこまりちゃんが、よおしって小さくいって、太い筆に絵の具をたっぷりつけた
青やみどりや白、きいろ、パレットの上の色がまざって、だんだんに絵があらわれてくる
海だ 

30 占いテーブルのとなり

コーヒーゼリーさんの占いは、かなりあたる
いつかトマトちゃんがみてもらったら、あんまりなんでもあてるので驚いて、ほかの人には内緒よってお願いしていた
おまつりの日はコーヒーゼリーさんの占いテーブルがでる
行列ができるかもしれない

ことちゃん(しーちゃんのひとつ上のお姉ちゃん)は絵を描くのが上手だ
おまつりの日バイトが休みになったから、占いテーブルのとなりに座って似顔絵描きをしたいな
ほんとは最後に、コーヒーゼリーさんに恋占いしてもらいたいの
ことちゃんの前にも行列ができると思う

ことちゃんが描く線はとてものびやかだ
こんなにきれいな、優しい線があるんだなってデッサンしているのを見て思った
毎日の景色
ツバメさんが飛んでいく空
海からのぼる太陽
羊丘の細い道
暗いだけじゃなくて明るい影
流れていく雲
いろんなものを描きだす