46 ジューススタンド、その後

7月になったら、暑い晴れの日が続くようになった
今年はジューススタンドは、夏至のあと1週間続いてそのあと閉店、スタンドうしろの赤青白のビーチパラソルはたたまれて、しーちゃんちの倉庫にもどった

チームソーイングは、ひとまずコップさんの家に移動だ
ミシン1台、人員1人(コップさん)で、しばらくは注文をこなす

工房のイメージカラーはみどりに決まった
コップさんの家は、夏になると全体がみどりになる。日よけ対策で、家のまわり中の草が勢いよく背を伸ばすんだ
東側玄関横には朝顔、強い日差しの西側には元気なゴーヤ、南には立派なヘチマ棚が組まれて影をつくる
北側はローズマリーとアロエが植えられて、もう随分大きくなっている

仕事を始めるにあたり、コップさんは裁縫用の大きな机をジョッキさんに手伝ってもらって作った
ジョッキさんが机の裏に、美しく 丁寧に って書き込んだ
仕事の基本ですねってコップさんがいった

トマトちゃんは焼き菓子屋さんにもどって、お菓子を焼いたりゼリーを作ったり、シャーベットを凍らせている
新商品のマスタードラスクを試食させてもらったら、すごくおいしかった。がりがりがりがりいい音がして、甘くなくて、暑い季節には特によさそうだ

棒パンは気に入って、毎日これを食べて暮らしたいっていいだすほどだ
ツリーハウスできたら、このラスクを持って泊まることにしようっていっていた
カンパンさんも、トマトちゃん、これおいしいよって音をたてている
ビールで乾杯して、このマスタードラスク…
カンパンさんは目をつぶって味を確かめて、すばらしいなあってうなずいた
トマトちゃんは嬉しそうにみんなの話をきいている

45 風船

そして、ぼくにスペシャルなことがあった

もりちゃん(しーちゃんちの3番目のお姉ちゃん)が、家から小太鼓を持ってきてくれたんだ
もりちゃんは、小学生のとき学校の鼓笛隊に入っていた。そのとき使っていた太鼓をくれるっていうんだ
ベルトもあったから持ってきたわ
白いベルトには銀いろの金具がついている
こうやってつけるでしょう
もりちゃんが手伝ってくれる
それで、ここに太鼓をかけると、ほら、たたきながら歩ける
ぼくは、演奏だけじゃなくて、行進にも参加できるんだ
棒パンが、すごいな、小太鼓の聖者だねっていった

演奏は、コーヒーゼリーさんのドラムで始まった
トマトちゃんのトランペットの音が、広場の空にぬけていく
トマトちゃんの吹くトランペットは、トマトちゃんと同じくらい元気のいい音だ。明るくてきらきらしている
しーちゃんとまきちゃんはクラリネットの楽しい音を重ねる。2人の音がスキップしたり、とんだりはねたりして遊んでいる
ベーグルさんのサックスはかっこいい。トマトちゃんのトランペットの音をきいてそれにあわせているんだけど、それがベーグルさんっぽい音なんだ
もんちゃん先生は、腕にみずいろの風船をつけたままトロンボーンを吹いている。先生がなかでも一番嬉しそうだ

コーヒーゼリーさんが、始まる前に、音を感じて太鼓をたたいてごらんっていった
音と楽器と、曲の流れとか空気とか雰囲気を、体全部で感じるんだよ。耳できいていたら間に合わないから、いっぺんに全開にしてね
ぼくはだから、みんなの演奏する音をきいて目をつぶる。深呼吸して、コーヒーゼリーさんから譲り受けたバチを握った
いっぺんに全開にするのってどんな感じだろうと思ったけれど、やめた
たぶん、思っていたりしたら、ほんとに間に合わないんだ。入ってしまおう、この場所のこの時間の全体に入ろう。思うんじゃなくて入っちゃおう

ゆきちゃんとお友だちはバトンをまわして踊った
ガードの人たちはフラッグを高く投げた
ことりちゃんは、広場のオリーブの木にとまったりぼくの肩にとまって歌った
カンパンさんとジョッキさんは、ステップを踏んで行進した
にゃん一郎くんとこまりちゃんは、広場にならんで座って、足で地面をならした
コップさんは、スズメさんの子どもたちと演奏のまねをしながら歩いた(トランペットが一番人気)
棒パンとワッフルさんは、残っていた風船を放った
赤や白やきいろの風船は空に高くあがって、風にのって海のほうにとんでいった  

40 クラリネット、宙がえり、フラフープ

バトンショーのあとは、しーちゃんとまきちゃんのクラリネット演奏だ
でてきた時ちょっと緊張しているふうだったけど、クラリネットを吹き始めるといつものしーちゃんにもどって、とてもいい音を響かせた
まきちゃんとの息もぴったりだ。テンポよく、すてきな曲が流れる

アンコールでは、コーヒーゼリーさんがでてきてマイクを握る
この曲には実は詞がついていて歌えるんです、何を隠そう、作詞したのは私です、という
作曲はまきちゃん
2人は、図書室企画の俳句の会(毎月1回活動)で知り合いになって、意気投合したんだって
コーヒーゼリーさんが曲の生まれたいきさつをにこやかに話して、しーちゃんとまきちゃんがアンコール演奏した

ことりちゃんの宙がえりショーも大成功だった
深々とおじぎをして飛び立ったことりちゃんは、まず低いところでくるっと1回まわって、そこからだいぶ高く、広場のオリーブの木ぐらいまで飛んでくるっとまわった
そして、ことりちゃんはもっと高く飛んで、姿が小さくなるぐらい高くのぼって、今度は大きく2回、ぐるんぐるんとまわった
次の出番で待っていたカンパンさんが、ことりちゃん勇気あるなあといって目を細くした
あんな高くからこの広場を見られたら、考え方かわるかもね、世界観かわるよ、きっと
見守っていたぼくたちのもとへかえってきたことりちゃんは、案外平気な顔をしていたから、みんなはもっと驚いた
すごいなあ、かっこいいなあって感嘆した

その次の、自由参加フラフープをまわそうでは、楽しい声で広場はいっぱいになった
カンパンさんは、ローラースケート姿でヘッドフォンマイクをつけてあらわれた
ゆきちゃんのバトン教室のお友だちが何人も参加してくれて、くるくるくるくるフラフープがまわりだす

ぼくと棒パンも借りてまわしてみた
ぼくは最初全然だめで、棒パンはすぐまわりだす
小さいころうまかったんだよって棒パンがいった。けっこう長いことまわせた
せーのってかけ声をかけてやっているうちに、ぼくのフラフープもまわり始めた
カンパンさんがローラースケートでみんなのまわりにやってきて、
そうそう とか、いい感じだねー、なんてスムーズ! 美しい って声をかけていく
ぼくには笑って、ナイスっていってくれた

28 お線香

カンパンさんにもらったお線香に火をつける
赤く火がつくと煙がすっとのぼっていく
燃えたあと灰が落ちるとき、少しだけ音がした

好きなのを持っておいきっていうから、ひのきのお線香をもらってきた
帰るとき折れないよう、紙に包んで10本持たせてくれた
木のいいにおいがする
海月神社の奥のほうのにおいに似ている

お天気の日に今度、棒パンと海月神社に散歩に行こう
神さまに、太鼓が上手になりたいですってお願いするんだ
練習はがんばっています、この気持ちを続けられますよう
ついでにおみくじをひこう
コップさんみたいに、いいこと書いてあるのがひけるかもね

お線香はゆっくり小さくなっていって、お皿の線香たてのところで静かに消えた
においもいいけど、燃えていくのにかかる時間もいいんだよってカンパンさんがいっていた

火をつけると何か思いだすだろう
そのあと、こんなことがしたい、あれもやってみたいって思いついて、いくつか願いごとをする
それから、普通のことがすてきに思えてきて、まわりの、スプーンとかクツとか、使ってる机とかいろんなものが、たぶん光って見える

その通りなんだよ、驚いた

20 お知らせは進化する

広場のお知らせ黒板に紙が貼られた

2週間後(6月18日)、広場でガードショー

ベーグルさんとマーチングチームのガード仲間が、2曲おどりを披露してくれるんだ
コップさんが作ったフラッグのお披露目も兼ねている

コップさんはそれは喜んで、ジューススタンドにやって来たお客さんに話している
すばらしい、見ごたえのあるショーだよ
ぼくの縫った青いフラッグで踊るんだ
見に来てね

どうせなら出演者をもっと募ってその日を広場まつりにしたら?
トマトちゃんのアイディアにみんな目を見開いた

夕方、こんなお知らせがはりだされた
スズメさんの子どもたちが宣伝隊を結成して、あちこち飛んでまわっている

広場まつり 開催   6月18日 11時から

プログラム
1 角食しーちゃんのクラリネット演奏   曲目:コーヒーゼリーの彼女
2 ことりちゃんの宙返りショー   高くとびます
3 カンパンさんとフラフープをまわそう   ←自由参加です(あればフラフープお持ちください)
4 カラーガードショー   すばらしいダンスと、コップさん作製のフラッグに注目

ほかに
・ コーヒーゼリーさんの「占いテーブル」でます (悩みごと相談可)
・ パイナップルジュースはこの日半額!
・ ジャムクラブから、さくらんぼジャムとパインジャムを出品予定です