38 ツリーハウス

ショーの始まる時間が近づいてきた
きらきらの白い衣装を着たゆきちゃんが、バトンを持って準備している。コップさん作のスカーフと髪かざりはすてきな仕上がりだ
おそろいのリボンをつけたスズメさんの子どもたちが、ゆきちゃんかっこいー、ゆきちゃんきれいーってはしゃいでいる
近くで、しーちゃんとまきちゃんがクラリネットの音だしをしている

トマトちゃんからたくさん氷の入ったジュースをもらって、棒パンとならんで座る
楽しそうな人がいっぱいの広場から、空を見る
汗かいたねって棒パンがいう
ジャム、けっこう人気だよ
ほんとだ、すごいな
よかった
自分で作ったものを買ってもらえるのって、嬉しいんだね
トマトちゃんもいってた。好きなものを作って売ると、いい繰り返しが起こるんだって
雲が流れていく

ぼくはさ、やりたいことが3つあるよ
棒パンが氷を口に入れて目をつぶる
バイオリンはもっと上手になりたい。ジロー先生みたいにいい音がだせるようになって、心をこめて弾きたい
それから、数学の勉強は続けたい。数学を勉強して、建築家になりたいんだ。家とかホールとか、橋とかいろいろ設計したい
3つめは、ツリーハウスを作って、まるぱんを招待したい
最後の氷をがりっていって棒パンは笑った

ツバメさんたちの飛んでいく影が、広場をよこぎっていく
ツリーハウスって、大きな木の途中につくるやつ?
そうそう
棒パンは嬉しそうにうなずく
すごいね、はしごを登っていくんだろう?
うん。らせん階段をつけてもいいらしい
それを棒パンが作るんだ
うん。いろいろ作りたいけど、なかでもツリーハウスは一番作りたいんだ。いいのができたら泊まりにきてね

好きなものって何がいいんだろう。考えると嬉しくて、今は持ってなくても、いつか(たぶんもうすぐ)手に入るってわかる
棒パンのやりたい事は、きっと実現する
空がまぶしく光って、棒パンの夢に拍手しているみたいだ。空だけじゃなく、ジャムのビンもまりくちゃんのビワも、ゆきちゃんのバトンもコーヒーゼリーさんの銀のスプンも、ここにある全部が、棒パンに拍手しているみたいだなって思った 

36 試食サブレ

ことちゃんのビニールシートのとなりはジャムクラブだ。茶色の低いテーブルを2つつなげて、みんなの自信作をならべる
しーちゃんちから借りてきた赤白のビーチパラソルが影を作る
いろんな色といろんな大きさのビンがそろってきれいだ。店番は、順を決めて2人ずつすることにした

朝、トマトちゃんがサブレをくれた
早起きして焼いたのよ。試食用で、ひとつジャムをあけて、サブレにのせてだしたらどうかと思ったんだ。よさそうでしょう?きっと売れるわよ
トマトちゃんはもともと焼き菓子屋さんだから、作るお菓子はどれもほんとにすごくおいしい
クッキーとかサブレ、スコーン、マフィン、定番はたくさんあるけど、ぼくの一番好きなのはココア味のビスコッティだ

どうして毎年、焼き菓子屋さんをお休みしてジューススタンドをするのってきいた
トマトちゃんはにこにこして、ほとんど思いつきっていう
お店は好きなの
で、お店で売るものは、自分が好きなものだったらまあなんでもいいかなと思って
好きなものって好きだからさ、上手に作れるようにだんだんなるでしょう、そしたらおいしいって喜んでもらえて、また嬉しいし楽しいし、それってすごくいい繰り返しよね

サブレは4つに割ってパインジャムをつけて、ご試食どうぞってお皿に並べた
ツバメさんたちが最初に飛んできて、わあ、おいしそうだなって大きな声でいった 

25 チームソーイング

届いたミシンは、写真で見たよりだんぜんかっこいいマシンだった
箱から出して並べて置く
トマトちゃんがおーっていった
コップさんは感動して、正面から見たりうしろから見たりしている
ツバメさんたちは低く飛びながらきゅっきゅっっていってる

これはすごい、
コップさんは、嬉しいけど半分緊張した顔つきでいう
ミシンは安定感十分、スピード調整無段階
足元のコントローラーつきで両手が自由に使える
さらにすごいのは、これがロックミシンにもなるという

直線縫いやジグザグ縫いができる普通のミシンなんだけど、レバーを引いてまわすと、反対側はロックミシンになるんだって
詳しくないからよくわからないけど、これは相当な機能らしい
(トマトちゃん曰く、1台2役っていうか、2台のミシンがひとつになってるのよ)

コップさんは名前を考えてきたといって、カバンから折りたたんだ紙を取り出した

チームソーイング

ぼくの工房の名前だよ
トマトちゃんがにこにこしている
なんだかそのままだけど、コップさんぽいかも

やがてこの裁縫工房は、とてもいい仕立てをすると評判になる
特に、楽器を入れるケースやバッグ、マーチングで使うフラッグや衣装は、たくさんの団体から注文が入るようになるんだ
その始まりはこんなふうだった

チームソーイング、夏至の日までビーチパラソルの下で作業中 

14 ジャムクラブ

もうすぐヤマモモの実が赤くなる
ぼくはあの色が好き
届くところはせっせとつんで
高いところのは、ことりちゃんにとってもらう
だいじに洗ってならべてみる
きらきらしていて宝もののよう
食べるとあまくて少しすっぱい
みんなをよんでごちそうする

今年は、そのヤマモモの実をジャムにする計画をたてた
ヤマモモとりは棒パンとワッフルさん
ことりちゃんとツバメさんたちが高いところの実を集める
ぼくとコーヒーゼリーさんは洗う係
煮るときのお砂糖係がにゃん一郎くん
半分は、この頃研究しているはちみつでするんだ
おなべはベーグルさんがみてくれる

おいしくできたら、ジューススタンドのとなりにお店をだすかもしれない
パイナップルをわけてもらって、パインジャムはどうだろう
ほかにもいろんなジャムを作ってみたいな

ジャムクラブ
お好きなくだものをお持ちください
おいしいジャムに仕上げます

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13 ダンス

台風がいってしまってからは
風は強めだけどいいお天気続きだ
空が青くて、日差しは高いところを光って流れていく

広場のジューススタンドはにぎわっている
ツバメさんたちは、もう10回きたっていってるし
トマトちゃんと仲良しの、てんとう虫さん専用テーブルができている
スタンド横にたてられたパイナップルのフラッグが今日は音をたてる

ベーグルさんがコップさんと話しこんでいる
2人は、パイナップルのフラッグを見ながら
本当? とか
そうかもしれない! とか
やってみたいな
できるかもよっていっている
だんだん声が大きくなって、最後に2人は握手して抱き合った
何かいい事が決まったんだ
トマトちゃんが、すごーいみたーい、みんなにみせたーいっていう

ベーグルさんは、音をたてていたパイナップルのフラッグをジューススタンドからはずすと
ちょっとはなれたところに立った
そして、フラッグをまわしながらダンスを始めた
広場にいる人たちみんながベーグルさんのダンスに見入る

フラッグは高く低くまわり、宙でまわり、
ベーグルさんの手をはなれてはもどった
きれいで力強いダンスはきっと1分ぐらいだったのに、とても長く感じられた

ブラボー ブラボー
みんながたくさん拍手して、ベーグルさんのダンスをたたえた

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